説難

主権の鼎

パブロ・ピカソ「ラス・メニーナス」 本ブログの最初に取り上げた中世スペインの宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの作品を、かの有名なパブロ・ピカソがオマージュしたものである。 私は、東京都美術館で初めてこの作品に出合った時、震えが止まらなくなり、そ…

アルカディアにも税は有り

1 税制は経済政策の3本目の柱である 経済政策は、ご存じのとおり、金融政策と財政政策の二つに分かれる。 税制は、この内財政政策の一つと位置付けられているが、私は以前からこれは間違いだと確信している。 税制は、金融政策や公共投資・補助金の分配を…

役人の矜持

国家3権の一つである行政府について語るのであれば、憲法上の内閣の権能よりも、国民に直接国家権力を行使する実働部隊であるという点であろう。 官僚と国会との権力闘争については、しばしば報道に取り上げられるところであるが、要は国民の求めるところは…

碩学の砦

「民意が全てを決めるなら、こんなに格式ばった建物も権威づいた手続きも必要ない。」 堺雅人主演「リーガル・ハイシーズン2」。死刑判決を受けた世紀の悪女を弁護するため、どうにか控訴審まで持ち込んだ最高裁で彼は叫ぶ。 ちなみに、彼の言う格式ばった…

教育は国家百年の大計 最終回《平和》

1 平和主義 国家百年の大計を担う教育とは何かを考えたとき、それは良き有権者を育てることであると私は定義してきた。そして良き有権者を育てる最も適正なテキストは主権者の定義を定めた日本国憲法にあると位置づけこのシリーズを展開してきた。 日本国憲…

大卒

エリートたる者 今春に就職したばかりの息子が、転職を考えているそうな。 娘の場合もそうだったが、就職初年度というのは、覚えることも多く、仕事の成果は上がらず、時間が全く取れず、疲ればかりが溜まり、相当に精神的に追い詰められることがある。 ここ…

教育は国家百年の大計5:教育

表題の言葉は、そもそも租税教育のエピソードを紹介する際に使用したのがきっかけだが、もとより好きな言葉のうちの一つである。 私は、この表題をそのエピソードだけで終わらせたくなく、シリーズ化することを考えた。 言葉の通り、「教育」とは国家の根幹…

寸法書を取りに戻るマヌケ

韓非子55篇 外儲説篇 左上 経二 「鄭人且(まさ)に履(くつ)を買わんとする者有り - 寧(むし)ろ度を信ずるも、自ら信ずる無きなり。」 鄭の人で履(くつ)を買いに行こうとする者がいた。 まず自分で足の大きさを計り、その寸法書を作ったが、座席に置い…

権利の行使は野卑であってはならない

香港のデモはエライことになっちゃっていますね。 去年銀婚式を祝して、家族で香港・マカオに行った。 香港を選んだのは、香港自治政府(正しくは香港行政会議)の要職が、中国本土の指名者に限定されるなど、急速に中国の影響力が上がっており、いずれ私た…

道祖神

平成も終ってしまいましたね。 という挨拶も、もう遅い時期になってしまった。 実は、本ブログを立ち上げた2018年1月1日から、基本的には2020年のオリンピックの終了時期を目処に、一定の活動を終える計画で、改元の連休はちょうどその中間に当た…

教育は国家百年の大計4:勤労

「つまらない誓いをたてちまったもんだよ。働きたい者には仕事をやるだなんて……」宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』湯婆婆のセリフ。 この作品の世界観では、働かない者は、酷いことに、豚にされて食べられてしまう。しかしその反面、前述のセリフの通り、働く…

象徴(シンボル (symbol))

新元号が発表されるといよいよ大騒ぎになり、私自身言いたい事も溢れるだろうから、その前に投稿しておこう。 「象徴天皇」とはどういうものであるか、今上天皇はずいぶん心を砕かれて考え続けたという。しかし、「その地位はその総意に基づく」とされた私た…

教育は国家百年の大計3:自由

「なぜ人を殺してはいけないか?」 昭和生まれ昭和育ちの私たちには、疑問に思うこと自体が疑問であるが、平成の子供達は、本当にわからないらしい。 韓非子を標榜する私としては合理主義の観点から、 「殺人によって苦痛から逃れようとするのは、合理的では…

教育は国家百年の大計2選挙権

「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。(憲法41条)」 私のお気に入りの条文の一つだ。 憲法に関する記述の多くは、日本国憲法の三本柱の一つである国民主権(主権在民)について、憲法の前文で示されているという。 憲法の前文は宣言で…

マグナ・カルタ

高校くらいで習うのだろうか?知る人ぞ知る、世界最古の憲法である。 習ったころは、受験のための暗記用語の一つくらいの意識だったが、30歳を過ぎて、立ち読みした本(痛快!憲法学:小室直樹著)から、この法典が、世界最古の憲法と言われる本当の理由を知…

教育は国家百年の大計1:租税

以前、就学前の幼児向けに税について説明するための人形劇があり、その脚本の募集に応募したことがある。 ストーリーを簡単に話すとこうだ。 「動物村のリスさんの家には毎日たくさんの子供たちが遊びにくる。理由はリスさんから、読み書き算数を教えて貰う…

説難

1 韓非子 紀元前3~5世紀。秦が中華を統一する前夜、十数国の小国が生き残りをかけてしのぎを削っていた。そんな中、国を守り繁栄させ安定させる手法を求めて、多くの政治思想とそれを唱える思想家が生まれた。 俗に言う、諸子百家である。 なかでも、論…